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その、透明な鎖を
第6章 違和感
凛が、その男を名前で呼んだ瞬間、ああこの人は彼女の父親だと……悠斗には分かった。
――でも、なんで?
なんで、名前呼びなの?
そんなことを考えていると。
男が、凛の頭を優しく撫でていて。
「身体、大丈夫?」
「うん……でも、なんで? 仕事は?」
「凛が心配で」
「早退してきたの……?」
「昼の休憩のときに『実は朝から凛の具合が悪いんだ』って言ったら、帰ってちゃんと看病しなさい、って怒られた」
男の穏やかなその口調に、凛はくすっ、と笑って。
「もう……千津ちゃん騙しちゃだめだよ。別に、風邪とかじゃないんだから」
「何言ってんの。朝、起きあがれないぐらい今回はひどかっただろ?」