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その、透明な鎖を
第6章 違和感
――なに? この雰囲気。
悠斗は、目の前で交わされるふたりの会話を黙って聞きながら。
その親密さに、立ち入れないものを感じて。
「彼氏?」
不意に、悠斗の方をちらりと見た男が凛に尋ねた。
「悠斗」
彼女は、悠斗を見て。
「父なの」
そう、言った。
――やっぱり、この人は凛の。
悠斗は思わず、その人をまじまじと見て。
そして、我に返った。
慌てて立ち上がる。
「あ、はじめまして! 桂木です。桂木悠斗、です……」
頭を下げる。
急に激しくなった心臓の音。
まさかこんなふうに凛の父親に会うなんて思ってもいなかった悠斗は、名乗った途端、なんだか動揺してしまって。