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その、透明な鎖を
第6章 違和感
「朝からね、ずっとついててくれたの」
凛の言葉に、そう、と。
その人は微笑んで。
「凛の父です。娘のこと、ありがとう」
「あ、いえ!」
「君もぐっすり寝てたね」
「え!?」
「オレが帰ってきたの、ふたりとも全然気づかなかったから」
「そうなの? 悠斗も寝てたの?」
「あ、うん……そう、みたい」
「もしかしてずっと、手、握っててくれた?」
「いや、その」
凛の父親のいる前で、そんなこと。
何て答えたらいいかわからなくて、悠斗は言葉を濁す。
「ははっ。まあゆっくりしていくといいよ。
お昼、作るけど。一緒に食べるよね?」
そんな悠斗に、彼はそう声をかけた。