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その、透明な鎖を
第6章 違和感
「あ……すいません、もう」
凛の父親に、頭を下げる。
「帰るの?」
「はい」
「え? まだいてよ、悠斗」
凛が、彼を引き留める。
「パパの作るごはん、美味しいよ?」
――パパ?
さっきは、名前で呼んでなかった?
「ごめん、今日は」
荷物を持って。
なんだか、よくわからない違和感が、頭から離れない。
「そっか。じゃあまたおいで? 悠斗君」
「はい」
ちら、と凛を見る。
「じゃ、凛。またね」
それだけを言って。
凛の父親に、もう一度頭を下げて。
「お邪魔しました」
そして、部屋を出た。
廊下を歩いて、玄関に向かう。
靴を履いていると、背後から声がした。