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その、透明な鎖を
第1章 そこにいたのは
――すっ、と。
悠斗から離れた凛は、また彼に問いかける。
「悠斗はここ、通る日と通らない日があるんだね。どうして?」
「ああ……」
高鳴ったままの彼の胸の鼓動はおさまらない。
「最近、バイトあるときはここ通るようにしたんだ。うちの学校からだとこの道通った方が近いってバイト仲間に聞いたから」
「悠斗、バイトしてるの?」
「ん」
「じゃあ、えっと……火曜日と木曜日ってこと?」
「月曜と土曜もしてる」
「そんなに? 何時から?」
「平日は夕方の5時から8時で。土曜は昼から」
そんな会話をしているうちに、彼は少しずつ落ち着いて。
「ふうん……」
それに対し凛は、少し何かを考えているようで。
「ね、悠斗」
やがて、彼女が口を開いた。
「バイトの日、これからもこんなふうに会える?」
「え」
「いろいろ話、聞きたいの。高校のこととか」
「高校?」
「ん。私、高校行ってないから」
――え。