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その、透明な鎖を
第6章 違和感
「凛、お父さんに見られる――――」
「私のため?」
彼の胸に顔を埋めて。
彼の言葉を切って、彼女は呟く。
「……だって、夏休み終わっても、凛とこうやってゆっくり会いたいから」
その彼の言葉に、彼女はさらにぎゅっと、腕に力を込めて。
「嬉しい」
ひとこと、呟いた。
「ん」
彼も、彼女を抱き締める。
そのまま、離れたくなんてなかったけれど。それは無理で。
……そっと、ふたりは身体を離した。
「じゃ、ね」
「ん」
名残惜しそうに、彼は彼女の家を出る――――。