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その、透明な鎖を
第7章 空白の意味
彼が呼び鈴を押すと、扉はすぐに開かれて。
そこから彼女は現れた。
「悠斗」
嬉しそうに彼の手を引いて。
「わ、凛っ」
でも彼には、その強引さが少し嬉しかったのも事実だ。
導かれた彼女の部屋でベッドに腰を下ろし、じっと彼女を見る。
……好きだなあ、と。
彼はやっぱり思って。
「体調、もう大丈夫なの?」
「うん。ひどいのは1日目とか、2日目なの」
「そっか」
「……悠斗って優しいよね」
彼女は、彼の隣に腰掛けてその腕を取る。
「ありがと」
囁いて身体を寄せてくる、愛おしい彼女。
腕にあたるのは、その胸の柔らかな感触。
「ん」
彼を見上げて、目を閉じる彼女。
彼はすぐにそのおねだりを聞いた。
軽く触れた唇は、リップ音と共に離れて。
ふふっ、と笑う彼女を見て、彼は口を開く。