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その、透明な鎖を
第7章 空白の意味
「ねえ、凛」
――聞かない方がいい。
何もわからないまま、このままいつものように凛と楽しく過ごせばいいんだ。
「お父さんは今日は仕事?」
彼はそんなふうに思いながらも、それができない。
頭の中にもやもやがあって、それがどうしても消えない。
そしてそれがある以上、心から楽しく過ごすなんて、彼にはきっと無理で。
「パパ? あ、うん。平日はね。土日が休みなの」
「そうなんだ……この前はびっくりしたよ」
「ごめんね。いきなり帰ってくるなんて私も思わなかった」
「凛のこと、可愛いんだね」
「ただの心配症なだけ」
彼女が笑いながら溜め息をつく。