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その、透明な鎖を
第7章 空白の意味
「……なんか、すごく若くない?」
「パパ?」
「うん。最初、お兄さんかと思った」
「えー? もう39歳だよ」
今日の凛はなんだか饒舌だな、と悠斗は思う。
そして、同様に自分も。
口からどんどんと発せられる言葉を、もうひとりの彼がどこか客観的にそれを見ていた。
「そうなんだ? でも20代にしか見えないよね。なんかすごくかっこいいし」
「悠斗も、かっこいいよ?」
ちゅっ、と。
そう言って凛は悠斗に口づける。
「……凛も、可愛い」
離れた唇が、すぐにまた触れ合えそうな距離のまま、彼は呟いた。
「ふふ、ありがと」
そして、それはそのとおりになって。
何度も、何度も。
触れ合うだけのキスが続く。