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その、透明な鎖を
第7章 空白の意味
「おまたせ」
そんなことを考えていると、凛が戻ってきた。
「悠斗、炭酸大丈夫?」
「うん」
「よかった。いまコーラしかなくて」
そう言って、グラスを手渡す。
「サンキュ」
受け取った悠斗は、何気なく聞いた。
「ねえ。凛のお母さんも美人なの?」
「え?」
「だって、お父さんはあのとおりだし。凛は可愛いし」
「……ママの写真、見る?」
ふふっ、と。
凛がいたずらっ子のように笑う。
「え? 何、その笑い」
つられて、彼も笑って。
凛はグラスをテーブルに置くと、待ってて、と言い残してまた部屋を出た。
……すぐに戻ってきたその手には、アルバムらしきもの。
「え? アルバム見せてくれんの?」
思ってもいなかった悠斗は、嬉しくなって。
彼女が広げたそのページ。
指で示されたその写真に、目を遣った。