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その、透明な鎖を
第7章 空白の意味
「え?」
――凛?
思わず、彼は彼女を見て。
またすぐにアルバムに視線を戻して。
ページの中央に貼られた、三人のその写真。
男の人が、ひとり。
これは凛の父親だろう。すぐにわかる。
そして女の人と、女の子。
女の子は、今よりまだ少し幼い凛だ。
「中1の頃の私だよ」
黙り込んだ悠斗に顔を寄せて、凛が言う。
さらりと流れたその黒髪が、アルバムへと落ちて。
その髪を、彼女は耳にかけて。
「うん……面影、あるね」
「そう? なんだか恥ずかしいな」
――っていうか。それよりも。
「……ねえ。凛のお母さんって」
「ん?」
「凛に、そっくり」
そう。
まるで今の凛を、少し大人にしたかんじで。
本当に、そっくりで。
「やっぱり、悠斗もそう思う?」
彼は何度も頷いて、答える。