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その、透明な鎖を
第7章 空白の意味
「すげー似てる」
「……パパも。『凛は年々ママに似てくるね』って言うの」
その、呟き。
「ママのこと大好きだから、すごく嬉しいけどね」
ふふっ、と。
また、彼女は笑う。
「他のページも見ていい?」
「えー。恥ずかしいなあ」
「何、今さら」
悠斗も、ははっ、と笑って。
グラスをテーブルに置くと、そのアルバムを、最初からめくり始めた。
自分の知らない凛が、ここにいる。
なんだかさっきまであったもやもやなんて、どこかに消え失せていて。
「うわあ……ランドセル」
「え? 何その反応っ」
「だって、凛がランドセルって!
いや、可愛いんだよ? 可愛いんだけどさっ」
なんだか、彼には不思議で。
にやにやしてしまう顔を、そんな言葉でごまかしたりして。