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その、透明な鎖を
第1章 そこにいたのは
「わかんない」
「え? 携帯とか持ってないの?」
「ん」
今時、携帯を持ってない高校生なんているのか?
彼はそう不思議に感じつつも、彼女の高校に行っていないという話を思い出して、なんとなく納得した。
「ごめん、時間見たいから、手……」
そこまで言うと、凛は察してするりと手を離した。
彼はそれを少し残念に思いながらも、携帯を取り出して時間を確認する。
やっぱり、もうバイト先に向かわなくてはならない頃だった。
「もう行かないと」
携帯をしまいながら、悠斗は言う。
「ん」
凛は、頷いて答えて。
「次に会えるのは月曜日?」
そのまま、そう問いかけられて。
月曜日、という言葉に悠斗の胸がもやもやとする。
……だって今日はまだ木曜なのに、と。
「土曜は12時からだし、日曜はないよ」
そして彼はつい、そんなことを言ってしまった。