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その、透明な鎖を
第8章 認めたく、なかったのに
「悠斗……」
凛は、彼の態度に不安を隠せない様子で。
それでも、身体を起こして乱れていた服を整える。
それから、彼に静かに声を掛けた。
「……悠斗、どうしたの?」
「ん?」
「さっきから何か変だよ……」
けれど、やっぱり彼は、彼女の方を見ようとはしなくて。
「なんか、悠斗らしくない」
――俺らしい……?
凛のその言葉に、悠斗は思った。
――俺、いつも凛の前でどんなだったっけ。
そんなふうに思ってしまうほど、今、彼の頭の中はぐちゃぐちゃで。
思わず、テーブルの上にある、水の入ったグラスを手に取ると、そのまま一気に飲み干した。