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その、透明な鎖を
第8章  認めたく、なかったのに


「パパの相手?」

「うん」


含みを持たせたその言葉。
けれど、凛の反応はまったく普通で。


「そうだね。パパとはよく話す方かな」


そんなふうに、さらっと返してくる。


「……すごく仲良さそうだよね。この前見た限りでは」

「ん。だってもう家族はふたりだけだし、ね。仲良くやってかないと」


ふふっ、と。
いつもの可愛い笑顔を彼に向ける。


……なのに。


その笑顔の裏に、何かを隠しているのだとしたら。
なぜ、なぜそんなふうに自分に笑いかけられるのか。
それとも、何も隠していないから、そんなふうに笑えるのか、と。
悠斗は、そんなふうに思ってしまった。

あんなに好きだった彼女の笑顔さえ素直に受け止められなくなっている自分に気づいた彼は、俯いて。
彼女に気づかれないように小さく溜め息をつく。


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