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その、透明な鎖を
第9章 だったらどうして
「……凛」
呼ばれて、彼女はそっと顔を上げた。
「凛は、父親に、お母さんの身代わりにされてんの?」
「……え」
「だって『桜』って呼ばれてた」
その言葉に、彼女は目を伏せる。
「凛、お母さんにそっくりだから。
だから、父親に無理強いされてんじゃないの?」
彼はそう言いながらも、頭の中の何かが、それを否定しようと動き出してくるのを感じた。
「凛は嫌なんだよね? されんの」
――嫌?
「ほんとはやめてほしいんだよね?」
――嫌なことを強要されてる相手と、あんな雰囲気になんの?
「ねえ、凛っ」
――無理強いされてるセックスで、あんなに艶めかしい喘ぎ声を出すの――――?