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その、透明な鎖を
第9章 だったらどうして
「悠斗、っ……」
凛はただ、そんな彼を見上げて。
その目は、みるみるうちに潤んで。
「……ねえ、なんで俺だけじゃだめなの?」
そんな彼女を見下ろしながら呟く彼の声は、掠れている。
「父親とすんのって、そんなに気持ちいいわけ?」
「やめて……」
瞬きと共に、凛の目にたまっていた涙が零れ落ちる。
「……っ、泣きたいのは、こっちだよ……!」
彼女から目を逸らした彼は、声を震わせた。
「好きで。俺、凛のことが好きで好きでたまらないのに……っ」
はあっ……と。
その溜め息まで、震えて。
「まさか凛が、父親とやってるなんて――――」
「違う、っ……!」
ひっく、と。
泣き声でそれを遮る凛の声。
「 ……父親じゃ、ないっ……!」