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その、透明な鎖を
第10章 私が失ったもの
……お通夜と、火葬。
そして、お葬式。
どういうことをしたのか。
私はどんな状態だったのか。
正直、あまり覚えていない。
おばあちゃんたちや、千津ちゃんがすぐそばにいてくれて、泣き続ける私を支えてくれたことと。
喪主の挨拶のときに、パパの声が涙で詰まって、あまり言葉にならなかったこと。
なんとなく記憶にあるのは、それだけだった。
そんな、すべてが終わり、家に戻った私たち。
パパは、ずっとママの遺影の前に座ったまま、それを見つめて。
ママの遺骨を抱き締めながら。
時折、肩を震わせながら苦しげに嗚咽を漏らす。
深すぎるその哀しみには、娘の私でさえ立ち入ることなどできないほどで――……。