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その、透明な鎖を
第10章  私が失ったもの


ママが亡くなって1か月後。
……私の不安は的中してしまった。


学校から帰り、いつものようにママの遺影が飾られているそこに行くも、パパの姿がなくて。

ぞわっ、と。
総毛立つような嫌な予感がし、家中を探す。
お願い、お願い……と。
ただひたすらにそう呟いていた。


――パパは、自分とママの部屋の中で。
床に俯せになって倒れていて。


悲鳴を上げながら、跪いてパパの身体を必死で揺さぶったのを覚えている。
パパは青白い顔をして、意識を失ったままで。
ママに続いてパパをも失うかもしれないという恐怖にパニックになりながら、それでも震える手で千津ちゃんに電話をかけて助けを求め、受話器の向こうに聞こえるその声に必死で縋った。
後から聞いた話だけど、私は『パパが死んじゃう!』と泣き叫んでいたらしい。

程なく、千津ちゃんが手配してくれた救急車がきて、パパが運ばれて。
病院まで駆けつけてくれた千津ちゃんとふたり、パパの意識が回復するのを待った。


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