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その、透明な鎖を
第10章 私が失ったもの
退院したパパと。
初めて、ママの死について話した。
そして私は、ママの死をちゃんと哀しむことができていなかったことに気づく。
『……オレのせいだね』と呟いたパパに、首を振って答えて。
そして、手を差し伸べてくれたパパにそのまま縋りつくようにして、思い切り泣いた。
パパも、私と一緒に泣いて。
私たちはそうやって、やっとママを失った哀しみを共有した。
……その哀しみは、きっとずっと消えない。
それでも、それを背負いながら私たちはこれからも生きていかなければならないのだ、と――……。