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その、透明な鎖を
第10章 私が失ったもの
「ん……」
眠っていた私は、その違和感で目覚めた。
……身体を、何かが這っている。
「ひっ」
暗闇の中、私の身体の上にあるその姿に気づく。
体重はかけられていないけれど、その手が、ゆっくりと私の身体をなぞっていた。
――ぞくっ、と。
恐怖なのか、何なのか。
それは、背中を駆け抜けて。
「やっ――、ん、んんっ!」
声を上げようとした途端、口づけられて言葉が封じられた。
逃げようとしてもがくように身体を捩らせると、その両手がベッドに押しつけられる。
唇を離したその人が、驚いて声も出せなくなった私に向けて、小さく言葉を発する。
「……桜。優しくするから」
「!!」