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第10章 　私が失ったもの

――瞬間、私は思ってしまった。

浅はかな考えと言われればそれまでだけれど。
そのときの私は真剣に、そう思ってしまった。


このままママの身代わりになれば。
パパは、ずっと私のそばにいてくれるんじゃないか、と――――。


ひとりになるのは、どうしても怖かった。
ママを失ったのが本当につらくて。
この上、パパも失ったら、きっともう私は耐えられない。

でも、パパはやっぱり危うくて。
私の存在だけが生きている理由だと言うその姿には、反対に、いつでもこの世を簡単に捨てていきそうなそんな印象すら感じられてしまう。

常に私に付きまとうその不安。
でも、私がママに似ているというそれだけではなくて、本当にママのすべての代わりになることで、パパを強くこの世に繋ぎ止めることができるなら――――。