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その、透明な鎖を
第10章 私が失ったもの
私は、思い込んでしまった。
それしかないと。
それこそが、最善の方法だと。
パニックになっていた頭の中は、そう思い込むことで、次第に落ち着きを取り戻していく。
これは、パパが生きていくために。
私が、孤独にならないために。
そう――必要なことなんだ。
……けれど。
その後、事実を知ったパパがどう思うのか。
一線を越えることの意味を、越えてしまったあとに自分はどう思うのか。
まだ、15歳の私。
突然置かれたそんな状況の中で、そこまで想像することはできなくて――……。