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その、透明な鎖を
第10章 私が失ったもの
「嘘だ……」
俯いたまま、頭を抱えて。
「……ごめん、凛……ごめ……っ……」
何度も、何度も。
私の名前を呼んで、そうやって謝って。
「桜かと、思って……オレ……桜と間違えて……」
パパの、その激しい動揺。
酔いなど一瞬にして醒めたような。
――私が引き起こした、それ。
「……っ、違うの!」
悪いのは、私だ。
何が何でも拒んでいれば。
私は凜だよ、と伝えていれば。
それを、ママの代わりになればいいんだと、勝手に思い込んで。
拒むどころか、パパを、煽って。
そして、結局最後の最後で、抵抗してしまった。
……繋がってしまった、あとに。
冷静になって考えれば、わかったはずた。
そのときは関係を結んでも、酔いが醒めて本当のことを知ったときにパパがどんな反応を示すかなんて。
そんなの、自分を責めるに決まってる。
いくら、私も望んだことだからいいのだと言っても。