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その、透明な鎖を
第10章 私が失ったもの
「ごめんなさい、パパ――……」
浅はかな考えで、自分が引き起こしたこの事態。
パパを、よけいに苦しめてしまった。
なぜだろう。なぜ、あのとき、その考えしかないと思ってしまったのだろう。
そしてなぜ……終わった後でしか、そう気づけないのだろう。
また、泣き出した私にパパは戸惑って。
なぜ凛が謝るのか、と。
――そして私は、すべてを打ち明けた。
泣きながら、話して。
めちゃくちゃな内容かもしれないのに。
でも、パパは黙ってそれを聞いてくれて。
再度、ごめんなさい……と。
そう呟いた私に、パパが立ち上がる。
私の元に近づいてきて。
「……凛」
私に手を伸ばして。
でも、寸前で止める。
「さわっても……?」
――今までだったら、何も言わず、躊躇わずに私に触れていたのに。
さっきの出来事が、それをできなくさせてしまった。
そのことが、触れることに違う意味をも持たせてしまった。
……パパと私の距離は、する前よりも開いてしまったのだ。