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その、透明な鎖を
第2章 雨の匂いが
「ねえ」
不意に凛に、呼ばれて。
「え?」
考え込んでいた悠斗は、その言葉に慌てて彼女を見る。
「バイトのない日はやっぱり会えないの?」
「……水曜と金曜は部活なんだ。うちの高校、全員部活に入る決まりだから」
それがなかったら、凛とゆっくり会えるのに――最近は悠斗もそう思っていて。
でもサボったことで生じる、先生や友達からの干渉とか……そういうのは何かと面倒だ。
だからなかなか踏み切れないのが現実で。
「凛こそ、土日はどうしてもだめなの?」
反対に聞く。
「ん。週末は家にいないと」
「……そっか」
――親、厳しいのかな。
その言葉を悠斗はそう取った。
「平日はけっこう自由なんだけどね」
凛が、呟く。
「……ん」
悠斗は、同意しかできなくて。