この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第2章 雨の匂いが
――少し、沈黙が訪れた。
その、微妙な空気。
悠斗も凛も。
言いたいことがあるのに、言えない……そんな雰囲気が、そこには漂っていて。
それは、苦しくなってくるほどのそれで。
――俺は。
悠斗は、何だか緊張して。
思わずごくりと唾を飲み込んだ。
――俺は、凛のこと……。
はあ...と、息を吐く。
それに気づいた彼女が、彼を見た。
「悠斗?」
首を傾げて彼を見るその癖。
さらりと肩を滑り落ちる黒髪。
「……凛」
唇が、震えた。
「ん?」
彼女が、答えたそのとき。