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その、透明な鎖を
第2章  雨の匂いが


――少し、沈黙が訪れた。


その、微妙な空気。
悠斗も凛も。
言いたいことがあるのに、言えない……そんな雰囲気が、そこには漂っていて。
それは、苦しくなってくるほどのそれで。



――俺は。



悠斗は、何だか緊張して。
思わずごくりと唾を飲み込んだ。

 

――俺は、凛のこと……。



はあ...と、息を吐く。
それに気づいた彼女が、彼を見た。


「悠斗?」


首を傾げて彼を見るその癖。
さらりと肩を滑り落ちる黒髪。


「……凛」 


唇が、震えた。


「ん?」


彼女が、答えたそのとき。


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