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その、透明な鎖を
第10章 私が失ったもの
「う……」
そのことに気づき、私はまた泣き出す。
「凛」
困ったような呟きと。
そっと、肩に置かれる手。
「ごめん……」
露わになっていた胸を隠すように、服が直される。
お腹まで捲り上げられていた裾も直そうとして――――。
「……拭くね」
そう呟いて、ティッシュを取り。
ごめん、と言いながらそこに触れた。
どうやら出血していたらしく、パパは何度も、何度も、ごめんと呟いた。
……その出血と、ずきんずきんと痛むそこが、パパと繋がってしまったことを裏付けて。
パパなのに。
親子なのに。
それなのに、関係してしまったというその事実。
今更ながら、じわじわと私の心がよくわからない罪悪感に侵食されていく。