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その、透明な鎖を
第11章 私と、そのひと
「そしたら――少しは気持ちが楽になる?」
「……え……?」
「凛と、オレは、血が繋がってないって言ったら」
思わずパパを見た私に、ゆっくりと。
一語一語、言い聞かせるように。
「だから。その……父親と、した、とか。それで凛が苦しんでいるなら、それは……大丈夫というか」
思いがけない告白に、言葉が出ない。
涙も、止まってしまった。
「本当なら、あのときすぐ言うべきだったんだろうけど。
……でも言わずに済むなら、それが一番いいんじゃないか、とも思って」
すっ……と目を逸らし。
俯きながら。
「そうやって、ずるずると時間だけが経って。
でも、凛の様子はどんどん……だから、やっぱり本当のこと、言おうと思って――――」
「嘘!」
私はパパの言葉を切るようにして叫んだ。
弾かれたようにパパが顔を上げる。