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その、透明な鎖を
第11章 私と、そのひと
その言葉を口にした直後、音がした。
同時に、左頬に焼け付くような痛みを覚えて。
その衝撃に一瞬にして、興奮が制される。
「オレの子かもしれないのにそんなこと出来るはずないだろ!?」
そんな、声と同時に。
再び私はパパに強く抱き締められて。
「そんなこと、二度と言うなっ……!」
「……う」
頬がじんじんと痛み出す。
生まれて初めて、パパに叩かれた。
でも、言っちゃいけないことを口にしたからだ、ってわかってる。
わかってるから、私は黙ってその痛みを受け入れた。
「……っ、うう、う……あ……!」
そのままパパにしがみつくようにして私は泣いた。
パパの服が、私の涙で濡れていく。
しばらくパパはそのまま私を抱きしめて、私の慟哭を黙って受け止めてくれた。