この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第11章 私と、そのひと
「凛のいる生活は本当に幸せで。凛が可愛くて、仕方なくて。そうやって、育ててきた。なのに凛は、幸せじゃなかった?」
「……っ、パパ……」
私は、首を振る。
何度も、何度も。
「桜と、凛と、オレと。三人で、幸せだったよね?」
今度は、頷いて。
ぽろぽろと零れ落ちる涙を拭いもせずに、私は何度も、何度もそうして。
「本当の父親なんて、どうでもいい。そんなのは凛に関係ない。今の凛に育てたのは、桜とオレだ」
「パパ……っ」
「凛は、汚くなんかない。こんなに桜にそっくりで、素直で、可愛くて。大事な、大事なオレ達の娘――――」
私は、たまらなくなって自分からパパに抱き付いた。
血の繋がりがどうこうじゃない。
私は、ママとパパの子供――本当にそう考えていいの?