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その、透明な鎖を
第11章  私と、そのひと


「……ずっと、知らせないでいようと思ってたんだよ」


私の頭を。
背中を、撫でていたその手が止まる。


「こんなこと。知らなくていい。言って、凛を悩ませる必要なんかない、って、でも」


……オレのせいだ、と。
微かな呟きが。


「凛が、その……この前のことで、何だかずっと思い詰めているような様子で。
だから、血の繋がりだけを言うなら、オレ達は親子じゃない、って。実の父親と間違いとか、そういうことじゃないから、って……」


そこまで言って、言葉を切る。
そしてそっと、私から身体を離した。
パパのその口元には、自嘲気味な笑みが微かに浮かんでいる。


「……なんだか、何を言っても、都合のいい言い訳にしか聞こえない、かな」


その言葉に私はふるふると首を振って。


「そんなこと、ない」


小さく答える。


「……それが一番、重かった、から」


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