この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第11章 私と、そのひと
「……ずっと、知らせないでいようと思ってたんだよ」
私の頭を。
背中を、撫でていたその手が止まる。
「こんなこと。知らなくていい。言って、凛を悩ませる必要なんかない、って、でも」
……オレのせいだ、と。
微かな呟きが。
「凛が、その……この前のことで、何だかずっと思い詰めているような様子で。
だから、血の繋がりだけを言うなら、オレ達は親子じゃない、って。実の父親と間違いとか、そういうことじゃないから、って……」
そこまで言って、言葉を切る。
そしてそっと、私から身体を離した。
パパのその口元には、自嘲気味な笑みが微かに浮かんでいる。
「……なんだか、何を言っても、都合のいい言い訳にしか聞こえない、かな」
その言葉に私はふるふると首を振って。
「そんなこと、ない」
小さく答える。
「……それが一番、重かった、から」