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その、透明な鎖を
第2章 雨の匂いが
やがてたどり着いたそこで、はあはあと荒い息をした彼らは顔を見合わせて笑う。
「びしょ濡れ」
悠斗が言うと、凛も頷いて。
「急に、こんなひどい雨降るなんてね」
はあー、と溜め息をつく。
まるでそれが合図だったかのように、ふたりの手が自然に離れて。
凛はそのまま片手でスカートの裾を掴み、濡れ具合を確認するかのように、少したくしあげるような動作を。
「――――っ……」
――だから、無防備なんだって……!
悠斗はそう思いながら、ちらりと見えた太ももから慌てて目を逸らす。
そのまま、凛に背を向けた。
「悠斗?」
何も気づいていないのか、彼女はそんな彼の腕に触れて。
「どうしたの?」
その腕が、引っ張られる。
「……っ、何?」
ちらりと振り向いた彼の目が――彼女の胸元に釘付けになった。