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その、透明な鎖を
第2章 雨の匂いが
濡れた白いブラウス。
肌に張り付いた生地が、凛の胸のラインを強調して。
下着が、透けて見えていて。
初めて、女の子のそういう生々しい部分を目にして動揺した悠斗は、掴まれた腕を振り払うようにして、凛から2、3歩離れた。
「悠斗?」
凛の、戸惑ったような声。
「何? なんで離れるの?」
「や、別に」
「でも」
「……っ、ほんとに何でもないって!」
――あ。
思いがけずきつい口調になってしまい、悠斗は慌てて振り向いた。
「ごめん、凛……!」
彼女の顔からは笑顔が消えていて。
「ごめん」
もう一度、謝って。
「その……目の遣り場に、困って」
言いづらかったけど、それを伝えた。
「え?」
凛が、自分の身体を見る。
「……あ」
やっと気づいたらしい彼女は、胸元を隠しながら少し彼から離れる。
「……っ、ごめん! そっち見ないようにするから」
彼は動揺する気持ちを隠し、何でもないようにそう告げ、また凛に背を向ける。
――雨は弱まってはきたが、まだ降っている。
橋の境目ぎりぎりまで進み、悠斗は空を見上げた。
「向こうの空は晴れてるみたいだけど……」
そう言い掛けた、そのとき。