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その、透明な鎖を
第12章  私の存在理由


唇を何度も触れ合わせられる。
私の緊張が伝わってしまっているのか、それをなだめるかのような優しさで。

頬から離されたその手が、自分の顔の横に投げ出されている私の手を探り、見つけると、そのまま重ねてきてそっと指を絡まされた。
絡まされながらも、その指がさらに動いて、私の指の間を撫でさする。

その軽い口づけと指への愛撫に応えながらも、私の頭の中ではいろいろなことがぐるぐると回ったままで。



……パパは、私は汚れてないと言った。

でも、あれを知ったときから、べったりとした何かが私の心に染みのように残されているのは確かだった。

ママを犯した、顔もわからないその男。
その男の血が間違いなく私には流れている。
薄汚くて、おぞましい……そんな汚れた血が。

同じ女だからわかる。
その行為を知ってしまったから、もうわかる。
それが、どんなに卑劣なことか。
あんなことを、見ず知らずの男から無理矢理されるなんて、考えただけで身の毛がよだつ。


……そんな行為をママにした男が、私の父親なのだ。 
そんな、憎んでも憎み足りないような男と私は血が繋がっている――――。


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