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その、透明な鎖を
第12章 私の存在理由
「――泣いてるの?」
私の顔を優しく撫でるパパの指先が、私の涙に気づいた。
拭うようにして目元を辿る。
私は首を振った。
パパは、少し黙って。
それから、静かに口を開いた。
「凛」
その呼びかけに、小さく息を吐いて答える。
「凛は、何も悪くないから」
パパの、その言葉――――。
「オレが全部、引き受ける」
「え……?」
「凛の中の、いろんな気持ち」
パパ……と、思わず呟いた。
……ああ。このひとは。
私のことを、わかってくれる。
私の中の、葛藤も。
嫌悪も、否定も、罪悪感も。
すべて、わかってくれてる。