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その、透明な鎖を
第13章 私が出逢った、彼
その年の冬。
千津ちゃんから、龍に『うちで働かないか』という話があった。
千津ちゃんちは自営業なのだけれど、デスクワークをしていた従業員がひとり、家庭の都合で急に辞めてしまって困っているらしく、それで龍に話がきたのだ。
龍から『受けようと思うんだ』とその話を聞いて。
でも『通うには遠いから、近くに引っ越さないと』とも言われ。
……私は躊躇わず、龍と一緒に行くことを決めた。
龍は、ほっとした様子で『凛が行きたくないって言ったらどうしようかと思った』と笑った。
それは、私と常に共にいたい、そう龍が思ってくれているということ。
そんなふうに、私という存在を求めてもらえることを幸せに感じながら、私もいつも龍と共にいたいと、そうあらためて思った。