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その、透明な鎖を
第13章 私が出逢った、彼
「……川、だ」
そんなに大きくはないけれど、それは確かにそこで流れていた。
川辺に降りて、近くでその流れをただ黙って見つめる。
きらきらと水面が。
吸い込まれるように、そっと指をそこに差し入れたときの、ぴちゃん、という水の音。
……私の心が、静かに落ち着きを取り戻していく。
ああ――――。
思わず天を仰ぐと、そこには真っ青な空が広がっていて。
「きれい……」
口からそう零れ落ちた言葉を、もう一度、繰り返す。
そのまま私は。
その水と、その空の青にしばらく見入った。