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その、透明な鎖を
第13章 私が出逢った、彼
――それにしても、今日は本当に天気がいい。
いつものように川辺に辿り着いた私は、靴と靴下を脱ぐ。
「あ、気持ちいい」
そのまま少し水の中に入ると、ひんやりとしたその感触に自然と声が出た。
スカートの裾をつまんで、ぱしゃぱしゃとわざと音を立てるように、その動作に夢中になる。
――と。
視線を感じて顔を上げた私は、少し先に制服姿の男の子がいるのに気づいた。
立ち止まって、私の方を見ている。
「……珍しいな」
ここを人が通るなんて。
そう思いながら私は、その人からすぐに視線を逸らして、また水と戯れ始めた。
高校に通ってたとき、よく男の子から見られたりしてたな……と、そのときのことを思い出す。
何も言われはしない。
でも、見られてた。
その視線が私はあまり好きではなかった。
声をかけてくればこっちだって拒否なり、なんなり、ある程度の意思表示ができたのに。