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その、透明な鎖を
第13章 私が出逢った、彼
そんなことを思い出していたら、突然、近くで声がした。
「ねえ」
驚いてそっちを向く。
そこには、さっきの少年がいて、私を真っ直ぐに見ていた。
額にかかる癖のない黒髪。
涼やかな目元。
薄い唇。
龍とはまた違うけど、整った顔立ち。
例えれば、清らかな、水のような、その印象。
「……誰?」
まさか、話しかけてくるなんて思わなくて。
思わず、私の口からそんな言葉が漏れていた。
「そっちこそ」
……何だろう、この人。
あまり接したことのないタイプだった。
そして私が名前を名乗っても、促すまで自分の名前は名乗らない。
少しぶっきらぼうな、その態度。
「何してんの?」
見ればわかると思うんだけど……。
とりあえず、そのままを答えると、は? みたいな顔をして。