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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
凛は、その出生を知って、ひどくショックを受けたと言っていた。
……もし、自分がその立場だったら。
悠斗はそれを想像しようとしたがうまくできない。
なぜなら、そのときどんな気持ちになるかなんて、きっと当人でなければわからない。
どんな想像をしたとしても、間違っているような気がする。
凛のそのときの気持ちなど、勝手に推測してはいけないような……それほどの問題のような気がした。
現に凛は、父親……その人を、何と呼べばいいのかまだ正直混乱している悠斗だったが、とにかく、その人から『生まれなんて関係ない』と言われても、その傷を持ち続けているのだからと、そう考えながら静かに目を閉じる。
そのまま、仰向けへと身体を反転し。
「……凛」
彼女のその傷は、すべてを知りながら彼女を愛し支えた存在に、自分の身体を差し出す決心をさせるほどの深さを持っていて――――。