この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
難しいことを考える前に、それをはっきりさせてからでないと、と悠斗は気づく。
凛にとって自分はただ、少し気が向いただけの相手なのか。
もしそうだったとしたら、自分が何を言ったとしても、関係を断たれて終わりだろう。
「……でも」
それでも、彼は思う。
自分の秘密を話してくれるということは、ただの気休めの相手なんかではないはずだ、と。
どうでもいい相手なら、ひとこと龍との関係を認めて、それでもうあとは切られるはずだ、と。
「そんな感じじゃ……なかった」
――なかった、はずだ。
……凛。
俺は、やっぱり凛が好きだよ。
何を聞いても。
何を言われても。
「……嫌いになんて、なれない」
両手で覆った顔。
隙間から漏れた彼の呟きは、少し震えているように聞こえて――……。