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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
思わず、悠斗は凛へと手を伸ばす。
胸元へ流れているその長い髪を、そっと撫でた。
凛は目を閉じ、少しの間黙ってそれを味わうようにして。
それから、目を開けて再び口を開いた。
「悠斗、私に『俺のこと好きなの?』って聞いたの覚えてる?」
「……覚えてるよ」
「私、あれではっきり気づいたの。自分の気持ち」
「え……?」
「なんでこんなに悠斗にさわりたいのか。触れていたいのか。教えてほしかった。そしたら……悠斗、そう教えてくれたから。
その答えで、ああそうなんだ……これはそういうことなんだ、って」
――あれは、そういう意味だったんだ。
悠斗はそのときのことを思い出す。
「……凛、も」
初めて、人を好きになったのか、と。
そしてその相手が自分だというその事実。
悠斗はたまらなく彼女を愛おしく思って。
……ん? と首を傾げた彼女に首を振って答える。
凛はそれを認めると、再び口を開きだした。