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その、透明な鎖を
第2章  雨の匂いが


「おつかれ~」


バイト仲間の石川がスタッフルームに入ってきた。
彼と悠斗は同じ高2で、勤務時間などもけっこうかぶっている。
悠斗は、挨拶を返して。

そして、それを思いついた。


「石川」

「ん?」

「俺の代わりに来週の月曜、出てくんない?」

「月曜?」


悠斗は頷く。

平日は、石川が火・水・木。
悠斗が、 月・火・木の勤務だ。


「おまえの月曜と、俺の水曜が交換ってことでいーの?」

「ん、頼む」


石川がいいって言ってくれたら、水曜の部活はサボろう、と彼は考えた。


「別にかまわねーけど……何? デート?」


ニヤニヤと笑う石川に、悠斗は口元だけで笑みを作り。


「そんなんじゃねーし!
……でも、サンキュ。今度おごる」


そう言って、店へと出た――――。


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