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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
「……だって、こんな私なのに誰かを好きになって本当にいいの? 好きだなんて、口にしてもいいの?
悠斗に好きって言われた途端、そんなふうに急に頭の中がぐちゃぐちゃになって」
「凛――……」
縋るような目で、彼女は訴える。
「……言えない。口になんてできなかった。だって私にはそんな資格なんかない」
「なんで……!」
「だって! だって私の父親はあんな人間なんだよ!? 女の人を無理矢理襲う、最低で、最悪な人間。私の中にはその男の血が流れてる――――」
たまらなさそうに、凛は悠斗の胸へと顔を埋める。