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その、透明な鎖を
第14章 泣きたくなる
「俺、凛から全部聞いて。それからひとりですごく、すごく考えた」
抱き寄せた彼女の頭に、顔を埋めるようにする。
甘い、凛の髪のにおい。
「でも、凛の俺への気持ち、はっきり聞かせてもらってないままじゃ結論なんて出せなくて。
だってそうだろ? もし凛が俺に気持ちなかったら、俺だけが何言ったって意味ない……」
きゅっ、と。
凛が自分の服の胸元を掴む気配を悠斗は感じながら。
「でも今、凛の気持ちちゃんとわかったから。だったらやっぱり、俺は凛と終わりたくない――――」
「でも……でも、私は」
「何? ほんとの親がどうとかそういうこと言いたいんだったら、そんなの関係ないから」
「……え」
「凛の中ではそれは大きな問題だってことは、聞いたから分かってる。でも俺の中ではそんなこと問題にならない」
「ゆう、と……」
「関係ない。嫌う理由になんかならない」
凛を好きなのは変わらないよ、と。
彼女の耳元で囁いた。