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その、透明な鎖を
第14章  泣きたくなる


「凛――……」


たまらなくなった彼は、彼女を抱き締める。

見えない鎖にがんじがらめになっている彼女を、そこから救ってあげたいと彼は思う。


「……凛は、凛だよ」

「悠斗……」

「お母さんの身代わりのままでこのままずっと生きてくなんて……本当は凛も無理だって思ってんでしょ?」


悠斗の言葉に、凛は首を振る。
けれども彼は続けた。


「凛の気持ち、ちゃんと理解したいって、俺思ってるから。だから、そうなろうとした凛の考え、間違ってるなんて言わないし、思わない。そのときの凛にはそう考えるしかなかった、ってちゃんとわかってる――――」


その髪に、優しく触れて。


「でも、もう、充分じゃないの?」


そのまま、彼女をあやすように頭を撫でる。


「ずっとお母さんの身代わりなんて……。
そんなの、本当の凛が。凛自身が可哀想すぎる」

「……本当の、私……?」


彼女のその呟きに、彼はうん、と頷いて。


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