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その、透明な鎖を
第16章 記憶の奥底
「――――っ!」
悠斗はその想像を振り払うかのように頭を強く振る。
どうして?
自分がいるのに、どうして――――!?
彼の頭の中で、ずっとぐるぐるとしているその問い。
大好きな彼女が、自分以外の男に今もそうやって抱かれているという事実。
それは、どうしようもなく、彼を苦しませる。
彼女を独り占めしたいのに、それができない。
自分のことを好きだと言ってくれる彼女の身体は、自分だけのものではない。
彼女は、自分とするときと同じように、他の男にその身体を開いて、甘い声でその男の名前を呼ぶのだ。
「……嫌だ」
悠斗は、唇をぎりっと噛んだ。
――凛は、俺だけのものなのに。
胸が、苦しい。
――凛は、俺のことが好きなのに……!