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その、透明な鎖を
第16章 記憶の奥底
「――――……!」
そうして。
彼は、あらためてそれに気づいたかのように。
そうだよ……凛は俺のことが好きなんだ、と頭の中で繰り返す。
だったら、もうそんな関係を望むはずがない、と。
凛にとっても、自分だけのはずだ、と。
なら、どうして?
……考えるまでもなく、それに、辿り着く。
「……龍さん」
そう、そこに。
そうだ、今まであんな痕。
凛の身体に見つけたことなんかなかったのに、と。
「……偶然?」
その言葉を口にして、それを打ち消すように首を振る。
偶然でキスマークなんて付くのだろうか、と。
「じゃあ、わざ、と……?」
龍は、もしかしたら。
凛のその場所に、わざと痕をつけたのではないだろうか。
悠斗はそう思って。
そして、自分で考えたそのことにぞくりとした。
なぜならそれが本当なら。
「え……龍さんにとって、俺って」
もしかして、邪魔な存在ということ――――?