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その、透明な鎖を
第17章  遠くへ


「……帰したくないな」


あの家に。
龍の待つあの場所に。


「え?」


よく聞こえなかったのか、彼女は聞き返してきて。


「……このまま、ふたりでどっか遠くに行っちゃおうか」

「え?」

「ね、凛」


下を向いたまま、彼は左手で彼女の右手を握った。
彼女の視線を、痛いほど感じる。


「……帰したくない」


握った手に、強く力を込める。


――この手を、離したくない。



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